“観測史上最大”暴風の恐怖?
今年は台風の当たり年なのか21号、24号と立て続けに非常に強い勢力の台風が日本本土を直撃しました。
今回の24号も九州南部や東海、関東地方を中心に各地で暴風が吹き荒れ、首都圏のJR在来線が計画運休をするなど混乱しました。
確かに私が住む埼玉県でも、ここ近年ではあまり記憶にない強風が吹いたと思います。
ニュースでも
“観測史上最大”暴風の恐怖と伝えていました。
「59地点で最大瞬間風速を更新!」
下はニュースの内容を抜粋したものです。
各地で観測史上最大の瞬間風速を観測し、日本列島を縦断した台風24号。
那覇の観測所では9月29日、最大瞬間風速53.1メートルを観測。
暴風の爪痕は全国各地に広がっている。
最大瞬間風速38.5メートルを観測した神奈川・横浜市磯子区では、無数の台風に耐え抜いてきた樹齢500年の巨木が倒れていた。
龍殊院の住職は、「これまで何十回も何百回も台風を浴びているけど、倒れることはなかった。それが倒れるということは、最近の台風が、異常に風が強い」と話した。
1日午後2時半前の時点で、19都県、59地点で最大瞬間風速1位の記録を更新した。
※引用: FNNプライムより “観測史上最大”暴風の恐怖 (FNN PRIME online)
これを見て皆様はどう感じるでしょうか?
この前の台風は今までにはない最強・最恐の台風だった。最近の台風は異常に強くなっている。
そう思われるのではないでしょうか?
ムリもないです。
だって・・・
そう思わせるように書いてるもんね、このニュース(^-^;
“観測史上最大”の落とし穴
気象庁のホームページから今回の台風24号で記録を更新した最大瞬間風速のデータを調べてみました。
ニュースでは59地点となっていましたが修正されたのか55地点になってました。一応その表を載せておきます。(見なくてもいいよw)
我が埼玉県でも久喜、鳩山、さいたま、越谷、所沢の5地点で観測史上最大を記録していました。
でも先程の表で注目して欲しいのは統計開始年と言うところ。
赤で囲った部分です。
すべて2008年もしくは2009年になってます。
じつは最大瞬間風速の観測を始めたのは殆どの所が2008年前後からです。たった10年間だけの記録なんです。
だから少しでも強い風が吹けば比較的簡単に観測史上最大の記録になったりします。恐らくこれからもどんどん記録は塗り替えられるでしょう。
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観測は長い期間おこなってこそ価値がある
最大瞬間風速の記録は殆どがここ10年間だけのものだと言いましたが、中には昔から長い期間観測している所もあります。
それが古くからある気象台や測候所(元測候所を含む)です。
東京都内なら東京(大手町)、埼玉なら熊谷と秩父、など全国で150か所くらいあります。
これらの中で今回の台風24号によって観測史上1位を記録した所はひとつもありません。歴史が長いと多くの台風を経験済みなので記録は塗り替えられにくくなるのです。
最初のニュースの所で横浜で最大瞬間風速38.5メートルとありましたが、果たしてそれは観測史上何番目の記録なのでしょうか?
正解は観測史上10番目でした。
さすがは横浜地方気象台。1938年から最大瞬間風速の観測を始めていました。実に80年間の記録です。
たった10年間しか記録してない観測所とはまるで重みが違います。
※仮にもし横浜地方気象台でも最近10年間しか記録をとってなかったら、今回の風は観測史上1位と言うことになってました。
そしてこの観測史上1位~10位を見る限り、昔も相当な強風が吹いているのがわかります。
ここ最近の台風が異常に強い訳では無いようですね。恐らく巨木が倒れたのも、色んな原因や要素が重なったのだと思います。
ちなみにニュースにあった那覇の最大瞬間風速53.1メートルは65年間観測しているなかでランキング外(10位より下)でした。
まとめ
最大瞬間風速は殆どがたった10年前からの記録です。
観測史上なんて言葉を使われたら昔からのもので歴史的にものすごい事が起きたと思っちゃいますよね。でもそうとは限りません。私も最近知って拍子抜けしました(^-^;
同じ観測史上1位でも観測期間の長さによって重みが全然違いますから「いつから」は重要なことだと思います。
これからは観測史上と聞いたら「いつから?」と疑問に思ってみてはいかがでしょうか?
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