ちゃこりんの空回りな世界∞

人生は空回りするほど面白い!

「私の行きたい場所」 3分で読めるショートストーリー

Hatena Feedly

先週のお題「行ってみたい場所」に合わせて珍しく物語を書いてみました

 

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「私の行きたい場所」

 

 

今日はおばあちゃんに会いに行く日だ

 

恋も仕事もなかなか上手くいかない毎日だけど

月に一度おばあちゃんに会う日は何となく心がほっとする

 

 

もうおばあちゃん、長くないんだって・・・

ついこのまえ電話でお母さんから聞いた言葉だ

 

一瞬あたまが真っ白になった

今度会う時は一体どうなってるんだろう

 

 

ハルちゃんいらっしゃい

もう首をながーくして待ってたのよ

キリンさんになっちゃうかと思ったわ

 

いつもの笑顔

いつものおばあちゃんだ

 

いつものように病院のお庭を車椅子で散歩して

いつものように他愛もないおしゃべりをする

 

 

おばあちゃんどこか行ってみたい場所ってある?

行くことは無理でも行った気分には出来るかもしれない

 

もう色んな所に行ったからねぇ

あっ

 

なに?

 

ううん

あったけど・・・まだいいわ

 

 

まだって・・・

おばあちゃん知らないんだ

もうあんまり時間が残ってない事を

 

えーどこなの?

おしえてよ

 

ふふふ、秘密よ。

それより向こうの花壇に連れていってくれないかしら

チューリップがすごく綺麗に咲いてるそうなの

 

 

花壇に行くとそれは見事にチューリップが咲き誇っていた

 

チューリップは色によって花言葉が違うのよ

 

赤は愛の告白

ピンクは誠実の愛

白は失われた愛

黄色は実らぬ恋

 

 

へぇー知らなかった

悲しいやつもあるんだね

 

ハルちゃんはどんな人と結ばれるのかしら

見てみたいわ

 

えへへ、と私は笑ってごまかす

ごめんね、おばあちゃん

たぶんそれも無理だよ

 

 

でもあせっちゃダメよ

よーく見て本当に「これだ」と思った人にしなさい

変な色のチューリップなんか選んだらおばあちゃん許さないんだから

 

そう言って笑顔で手をグーにして叩くふりをした

思わず私も笑ってしまった

 

 

部屋に戻ると看護婦さんが少しならチューリップを採って飾ってもいいと言ってくれた

 

なら紫のチューリップがいいわ

 

は-い!

そう言って私は花壇へ向かった

あれ?紫色の花言葉はなんだっけ?

 

 

そっちの棚に飾ってくれる

そう、そこそこ。そのとなり

 

おばあちゃん、紫色の花言葉はなんだっけ?

 

紫は・・・ふふ、忘れちゃったわ

次に来る時まで調べといてくれる?

 

うん、わかった

 

 

一瞬「次に?」と思った

次に会う時、今と同じように変わらずおしゃべりが出来るだろうかと

 

おばあちゃんの様子を見た

うん、大丈夫

いつもの笑顔で元気なおばあちゃんだもん

 

 

じゃあまた来るね

 

ハルちゃん!

 

ハルちゃんが思ったことをそのままやればきっと大丈夫よ

自分を信じて

おばあちゃん応援してるから

 

うん。ありがとう、おばあちゃん

 

 

病室に一人になると

おばあさんはチューリップの隣にある写真立てに語りかけた

 

そこにはやや年老いた夫婦が写っている

 

 

あなた

あなたは小さい頃のハルちゃんしか知らないでしょうけど

ハルちゃん素敵な子になりましたよ

 

まるで若い頃の私のよう・・・って言ったら笑われるかしら

 

 

あなた

もうすぐあなたのそばに行きますからね

 

 

白いカーテンがふわりと舞い、チューリップが微かにうなずくように揺れた

 

 

 

出典:timeless-edition.com

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紫のチューリップの花言葉・・・永遠の愛