■OLD STYLE-1
「さっきの二枚目、すっごく良く撮れたと思う」
「不二君。すごい渋いカメラ使ってるんだね。」
迂闊にも最初に声を掛けてしまったのは私の方であった。
顔も名前も知っていた。
中等部の女子の中では彼は有名だったから。
曰く。すごい美形。
曰く。いつもにこにこしてて誰にでも親切。
曰く。成績も良いらしい。
曰く。部活のテニスも全国レベル。
でも、それだけ。
特に自分の好みのタイプでも無かったし、第一接点が無い。
その日。修学旅行で台湾に行った時のこと。
海外旅行とは言っても、しょせん修学旅行。
名所やらお寺巡りやら、やってることは京都もタイペイも変わらない。
でも、ここが写真部の腕の見せ所だ。
私は、この日の為に思い切って買い溜めたフィルムを慎重に消費していた。
中学生のお小遣いにとっては、フィルム代も現像代も莫迦にはならない。
三件目のお寺で、すごく大きな大木を見つけて、
アングルを決めようと、辿り着いた場所には既に先客がいた。
それは意外な人物。 不二周助。